MIYABIの部屋

いつの日もこの胸に流れてるメロディー

レビュー『その日のまえに』


昨年の大ヒットドラマ「とんび」の作者 重松清
その日のまえに』感想です。

残念ながら見逃してしまったのですが今年の春に、
佐々木蔵之介さん壇れいさん主演でSPドラマにもなりましたね。

社会に出てそれなりに年を重ねると、お別れの席に参列する頻度が増えました。その度にこの本を思い出します。

親族の四十九日法要に出席して来ました。
老衰で亡くなったので看取った家族は、寂しさのなかに安堵も見えた様に感じましたが、やはり幾つであってもその人がもう其処に居ないという事は哀しいものです。

ドキュメント番組や映画、漫画等はその映像や音楽、人物画から感情が高まって号泣する事が常なのですが、挿絵も写真もない文字だけで自分でも驚く位涙が止まらず、自分の経験とも重ね今は逢うことも叶わない人達を思い出しては涙ぐみ、最後はほぼ嗚咽だった様に記憶しています。

本作は表題作はじめ7編成の“その日”を迎える去り逝く側と、
それを見送る残される側の目線で描かれた連作短編集になっています。

【収録作品】
ひこうき雲
・朝日のあたる家
潮騒
・ヒア・カムズ・ザ・サン
その日のまえに
・その日
・その日のあとで

潮騒」辺りから私の涙腺がざわつき始め…
そこから最後までは平常心では読むことが出来ませんでした。
クラスメイトの病死、一人息子を遺して逝く母、愛する妻を幼い子達と看取る夫、不慮の事故で子を失った親…。
その他どれもこれも洟の奥がツーンとなるお話でした。

それでも遺された者は喪った悲しみを乗り越えて、この先も自分自身の“その日”が訪れるまで生きていかねばなりません。
最終章では、各章の登場人物が少しずつリンクし遺族に光の射す幕引きと、生と死にしっかりと向き合う「お涙頂戴」に終わらせない、重松清 渾身のエンディング小説となっております(`;ω;´)

私達はこの世に生を受けてから歓喜や試練、出逢いと別れを繰り返しいつか訪れる“その日”に向かって歩いています。
1人1人与えられた時間が違う分、
1日1日大事に生きよう・・・

にっこりと微笑む遺影を眺め、小さい頃に叔母さんの畑で育った新鮮な野菜を丸かじりした楽しかった思い出が甦ります。

叔母さんそろそろ天国に着いた頃かなぁ??
マシンガントークの仏様が仲間入りしたのなら
天国はさぞ賑やかになるだろうな~。
私も出来るだけ沢山の人の土産話を持って行ける様に、
ずっと元気で楽しく過ごさなくっちゃp(*^-^*)q

いい人生でしたと最期に言いたい♡
その日のまえに』★★★★★