MIYABIの部屋

いつの日もこの胸に流れてるメロディー

レビュー『世に棲む日日』


明日、10月27日が2015年大河ドラマヒロイン…の兄、
吉田松陰の祥月命日に因んで司馬遼太郎の長編時代小説
『世に棲む日日』のレビューを書きたいと思います。
全4巻、長州の異端児 吉田松陰とその門下生で
明治維新の立役者 高杉晋作の生涯が描かれています。

世に棲む日日①
兵学の家元でありながらも、諸国遊学の折で見聞きした自国と諸外国の兵力差を危惧し、勤王主義思想を強めていく吉田松陰
学問に長けて家で書物ばかり読んでいるイメージでしたが「何それ!?」と思ったら速攻現地入り&手形が下りぬなら脱藩してでも飛んで行く、意外に行動派だったんですね。第1巻は松陰幼年期からペリー再来航まで収録。

世に棲む日日②
黒船に密航し更なる見聞を広げたかった松陰。
当然罪に問われ東京の伝馬町、山口の萩へと収監された後、幕府に弓引く危険人物として遂に死罪が宣告されるのです。
牢の中でも囚人の得意分野の教授を乞うとか、常人とは逸してますね~。
2巻より長州の革命家、高杉晋作が登場!
動乱の幕開けが始まります。

世に棲む日日③
反幕思想を持つ事は狂である、と説いた松陰ですがその斜め上を行く過激さで師の志を継承・実践する高杉晋作こそ正に“狂”‼
高杉さん、病弱ながら親でも手を妬く超トリッキーな御仁だったのね。
相談なしで勝手に軍艦購入とか、長州藩VS日本全土に喧嘩を売るとか…
ん~でも嫌いじゃない♡(≧∇≦)

世に棲む日日4
・村1番の美人を嫁にするも妓楼に入浸ったり。
奇兵隊を創立した人なのに出家して山籠り。
・長州に高杉在りと藩内の信頼も厚いのに幾度も脱藩謹慎。
ONとOFFの差が激し過ぎます( ̄□ ̄;)!!
自分の出る幕じゃないと地位も名声もスパッと棄て、高杉の動く時、
疾風雷電の如く歴史も一緒に道連れに…格好いいですね!!
 
「おもしろき こともなき世を おもしろく すみなすものは 心なりけり」

師匠とは対称的に無類の女好きだったり、短歌や浪曲を愛し、辞世の句通りの短くも太く凝縮された28年の生涯だった様に思います。

大政の奉還を何よりもその目で見たかったであろうこの二人…
僅か30年で志半ばで逝くのは、さぞ心残りであったろうなぁ…。

吉田松陰が没後
――弟子に向けた時世の句――
「身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂

――家族に宛てた時世の句――
「親思ふ 心にまさる 親心 けふのおとずれ 何ときくらん」
 
ぐっと来ちゃいますねー( ノД`)・゚・
新選組の大好きな私には複雑ではありますが、歴史上仕方の無かった事なのでしょうけれど…吉田松陰には長く生きていて欲しかった…。

やっぱり幕末の志士はいいッd(`・∀・)b
『世に棲む日日 全巻』★★★★★