MIYABIの部屋

いつの日もこの胸に流れてるメロディー

レビュー『想い雲 みをつくし料理帖』


高田郁著『みをつくし料理帖シリーズ』
第3段・想い雲
前作「花散らしの雨」で住み込みの下足番ふきを迎え、澪の心尽くしの旬の料理とおもてなしに常連客も徐々に定着し、つる家に出入りする新たな顔ぶれも加わってますますの賑わいをみせるのでした。
 
 
以下、献立とあらすじです。
豊年年―「う」尽くし
吉原通いで堕落し行方を眩ませたという若旦那、佐兵衛の所在を知る人物と思わぬ形で再会を果たした澪と芳。
土用の丑の日といえば鰻…ですが澪はお客の懐に優しく、目で見て楽しく、尚且つ精の付く暑気払いの献立を考案するのでした。

想い雲―ふっくら鱧の葛叩き
関東育ちの私には余り馴染みのない魚、はも。獰猛で血には毒、更に数千とも言われる骨を持ち職人の腕が試される鱧。
源斉先生の計らいで、あさひ太夫の献上品の料理人に抜擢された澪は、女と見て嘲る楼主や男衆を脇目に幼き日の親友、野江の為に腕を奮うのです。

花一輪―ふわり菊花雪
女性が板場に立つ事が珍しかったご時勢、料理番付に載り繁盛する澪にあやかろうと店名や料理を盗用する女料理人が後を立たない。
前巻同様、何とかしてつる家を失脚させようと隠謀を企てる腐れ料理人が現れ、澪の料理人としての真価が試されるのです。
淡雪に見立てた山芋料理、私も熱燗で一杯やりたいです♪

初雁―こんがり焼き柿
風評被害を脱却する為、3の付く日を“三方よしの日”に倣い、お酒の提供を開始したのと澪の一心な料理に対する思いが功を奏し、客足が戻って来た事に胸を撫で下ろすつる家一行。
そんな中、ふきの弟が奉公先を脱走し行方を眩ませる事件が起こります。
幼い姉弟の絆を繋ぐ柿…今は渋柿でもいつかは甘く実を熟すその日が、早く訪れることを願ってやみません。



順調に商いが出来たと安堵すれば一難去ってまた一難…
それが時代劇たる所以なのでしょうが、だからこそ“雲外蒼天”に繋がるのですね!!この四字熟語、私の座右の銘にしようかしら(`・ω・´)✧

今作では遊廓の料理番、又次がなんと格好良いのか…♡
ドラマでは高橋一生さんが演じられたのも相まって、荒っぽく男気溢れるアクションに私の胃袋と心をガシッと鷲掴みされてしまいました。
またしても小説の人物に惚れてしまった。

澪が想いを寄せる謎の侍、小松原の素性の片鱗も垣間見えて来ましたね。
もう全巻読破しなければ精神衛生上よろしくないまでにどハマりしている私。

次回作『今朝の春』に続きます
『想い雲 みをつくし料理帖』★★★★☆