MIYABIの部屋

いつの日もこの胸に流れてるメロディー

レビュー『天の梯 みをつくし料理帖』

 

高田郁著『みをつくし料理帖シリーズ』
完結巻  天の梯
前作「美雪晴れ」では芳が柳吾の元に後妻に入り、澪自身も親友野江の身請け金4千両をどう捻出するか…果たして女に落籍された太夫は本当に幸せなのか…そして料理人として自らの行く末に懊悩の日々を送る。
雲外蒼天…曇天の空から澄み渡る空は望む事ができるのか!?堂々の完結へ

2015年、1冊目を飾るに相応しい作品となりました。

以下、献立とあらすじです
結び草――葛尽くし
「食は人の天なり」口から摂るものだけが人の身体を作る
初めて逢った時に教えられた若き医師、源斉の言葉が澪の頭をこだまする。
名店として大店を構え贅を尽くした一流の料理を商うか…
利は出ずとも身分を問わず心と体を健やかにする料理を作るのか…
お嬢様育ちが一転 倹しい暮らしを余儀なくされた友に滋養と強壮の食で励ましてあげたい…これが澪の出した答え なのですね。

張出大関――親父泣かせ
どんな状況でも工夫を凝らし心を満たす澪の料理が人伝てに広まり、
遠く公方様側近の“御膳奉行”の耳にも届く迄に…。
そして つる家の看板料理としてこの先も永く愛されていくであろう一品が、
料理に人生を捧げる武骨な新料理人によって生み出された。
食べた途端に双眸が潤む…見た目は悪いがその慈味深い料理の正体とは!?
季節は料理番付の話題に湧く師走の年の瀬…新たな歴史が始まりを告げる。

明日香風――心許り
どうして本作が多くの読者を惹き付け愛されているのか、
内容は伏せますが、この大粒の涙を以て解明出来た様に思います。
後ろ暗い過去として伏せられてきた各人物の伏線が一気に収束されて行き、残り1章まで来たというのに…また始めから読み返したくなりました。
澪自身も誰がずっと自分を支えてくれ、誰となら添いたいと願うのか。
やっと辿り着けたんだね(T_T)これぞ「医食同源」‼幸せにおなり!!(号泣)。
泣いても笑っても次回、最終章です。

天の梯――恋し粟おこし
澪の未来にどんな結末が待っているのか…はやる心と指先を落ち着かせ、
最終章は1文字1文字を噛みしめる様に大事に大事に読みました。
詳細は伏せますが、フィナーレを飾るその料理は太夫落籍の引出での品…
拭えど拭えど涙が止まらず…このシリーズには最初から最後までずっと泣かされっぱなしでした。゚(゚´Д`゚)゚。こんな素晴らしい幕が降りるとは…
これぞ大団円!あっぱれです!!

収まる所にきちんと収まり、本を読んでこんなに幸せになったのは初めてかもしれません…人の情と食の大事さを改めて大切に思います。

涙を拭き一息ついて…ふと巻末に折り畳まれた付録の頁に気付く。
10年後の年号で発行された料理番付と解るや、沈静を取り戻していた涙腺がまたもや崩壊‼!!
一体どんだけ私を泣かせれば気が済むんだ〰〰°(゚´Д`゚)゚。‼

きっとこの10年の歳月の中にも沢山の苦楽がある事でしょう。
シリーズ完結を迎えるのは寂しく思いますが、末文でその後日談を描いた特別巻を届けてくれると約束をしてくれた高田先生、有難うございます!!
またいつか澪ちゃんに会える日を楽しみに…♡

雲外蒼天――この本との出逢いに感謝
『天の梯 みをつくし料理帖★★★★★』完結