MIYABIの部屋

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レビュー『ソウルメイト』


馳星周著『ソウルメイト』
ソウルメイトとは諸説ありますが“魂”と“仲間”を語呂合わせした造語で過去世で何度となく出会っていて現世でもお互いの魂を成長させる為、巡り会うことが約束された深き縁で結ばれている人や生きものの事を指すそうです。
この書でのソウルメイトは飼い主と犬。
7家族7犬種の「魂の同志達」を描いた7編成短編集です。


私のまわりでも犬や猫を飼ってる人は沢山いるし、昨今はペットを飼うというよりも家族の一員として一緒の時間を過ごすという傾向になってきてますよね。
チワワ、ボルゾイ、柴、ウェルシュコーギージャーマンシェパードジャックラッセルテリア、バーニーズマウンテンドッグがそのまま章のタイトルとなり、その犬達の性格や飼育の違いを散りばめながら物語は展開します。


馳星周さん=ノワール小説ってのが凄くあって今迄ちょっと敬遠してました。
大変失礼ながら…私の中では同じく作家の新堂冬樹さんと同じくくりに属される方との認識でおりました。(見た目とかその他諸々^_^;)
ご自身も愛犬家であるが故に犬達の小さな仕草や表情の機微が凄くリアルで、畏れ多いながらちゃんと犬を見て来られた方だなぁとお見受けしました。

わんちゃんを家族に迎える為のガイドラインとして有名なのが『犬の十戒』
犬と飼い主がより良い関係を築く為の10の心得を犬の目線で綴られた作者不明の詩になりますが、私の主観ではこの本はそのオマージュのように思えます。
冒頭には原型の英文を愛犬家でもある馳氏の解釈で翻訳もされ、「今はなき愛犬達に捧げる」との一文も添えられていました。

個人的な話をすると、今月は私のわんこの3回忌年で大袈裟なものではないですが先日ささやかながら供養も済ませました。
この本を書店で見た時、時期的なご縁を感じて手に取りましたが、どの話も人と犬との間に愛が沢山あって、再びペットロスに陥るどころか “やっぱり犬はいい♡“ ”また犬を飼いたい♡”と思わせてくれる温かいお話ばかりでした。

逆にこれから犬を家族として迎え入れる前の予備知識として、この本が広く浸透するといいのにな~(*^_^*)って思います。
飼った後に“思ってたのと違う‼”ってなるのは人も犬も不幸ですしね。
いつかは訪れる別れの時、悲しみの中でもこの話の家族の様な時間が過ごせたのなら犬達もきっと幸せだったろうなぁと思いながら、愛犬と一緒に居た頃を思い出しました。

ソウルメイト続編の『陽だまりの天使たち ソウルメイトⅡ』も10月に刊行されてますが、それはまた後日読んでみたいと思います。

犬は健気で可愛いなぁ。。。
馳星周著『ソウルメイト』★★★☆☆