MIYABIの部屋

いつの日もこの胸に流れてるメロディー

レビュー『花宵道中』


江戸末期の吉原を舞台に、自らの宿命に懸命に生きた強く儚き女性達の悲恋を描く女性のためのRー18文学賞を受賞した宮木あや子の代表作『花宵道中』のネタバレ全開レビューです

こちらの話も大好きな作品です(≧▽≦)
今秋11月8日に全国上映予定でも話題になってますね~。

6部構成の各章毎にヒロインの遊女が変わり、時系列を交錯しながら1つの物語に繋がっていく連作短編小説です。

遊廓を描く上で性描写がないと成立しない訳なんですが・・・
これはなかなかの官能的・・・(゚A゚;)ゴクリ
でも厭らしさを感じさせない綺麗な文章と、女性達の懸命さに引き込まれて時間が経つのを忘れてしまいます。

かいつまんでご紹介しますと・・・

第1部「花宵道中
朝霧と半次郎の報われぬ哀しき恋。
朝霧の華奢な身体が熱を帯びると、白い肌に火照る薄い斑点が桃の花びらが舞った様に見える体質…縁日で出逢った半次郎と恋に落ち、花弁が狂い咲く描写は何ともエロティズムを感じるのですが…
運命の悪戯によって結ばれることは叶わず、哀しい結末が待ち受けるのです…。

第2部「薄羽蜉蝣」
茜と姉女郎、八津の師妹愛を描き遊女として生きていく葛藤や外界への憧れを水揚げ前である茜の目線で描かれます。

第3部「青花牡丹」
私が1番好きなお話で表題作ともリンクする半次郎の姉、霧里の壮絶な半生と弟半次郎への淡い恋心が胸を打ちます。
第1部の伏線が美しく切なく回収されていく様は鳥肌がブワッ(´;ω;`)

第4部「十六夜観音」
朝霧の妹女郎、八津と廓の髪結師三弥吉とのプラトニックな恋模様が胸を締め付けます。“好きになったら辛いだけさ”と想いを圧し殺す八津の心情を思うと目頭が熱くなります。八津には幸せになって欲しい・・・

第5部「雪紐観音」
絶世の美貌故に幼少時に受けた苛めのトラウマを持つ緑と、貧乏が故に遊廓に売られた三津のちょっぴり百合要素のあるお話ですが、第4部とも関連があって恋を知らず遊廓に囲われたまま命を落とすという事を描いた切ないお話。

第6部「大門切手」
山田屋を切り盛りする女将、勝野の花魁時代の回顧録と、女郎達が外界に出ていくという事について語られ、どうにもならない時代背景やそれでも生きていく女の強さ、気高さ、全ての話の集大成として読んだ後は色々と思うものがありました。

時代小説を読んでいると歴史に名を残した志士達の馴染みだったり、身請けされていくのを見ると遊女ってステイタス高いじゃん!なんて思ったりもあったけど、、、

本当は血の涙を身体中から流しながら、たった一人の愛しい人に身を委ねる日を恋い焦がれながら懸命に生きていた…。

こういう痛みを共感するという意味でのRー18でもあるのでしょうね(T^T)
独特な廓言葉もなく時代小説特有の古臭さも感じずスッと入り込める作品。
宮木さんの多作品にも同様なのが沢山あって『白蝶花』もお薦めです♡

さて、この朝霧を安達祐実さんが体当たりで演じる訳ですが・・・
家なき子」でよく知るあのすずちゃんが、妖艶な肌を晒すとは…
見たい様な見たくない様な・・・・・・

何年後にはあの愛らしい芦田愛菜ちゃんの体当たり演技なんかも
目にする日が来ちゃうのかな・・・((( ;゚Д゚)))
 
本の感想とは脱線しまくりですが…
お読み頂いてありがとうございました(^-^)


映画化も楽しみにとっておいて。。。
花宵道中』★★★★★