MIYABIの部屋

いつの日もこの胸に流れてるメロディー

レビュー『女ともだち』

 

殺人鬼フジコ以来大好きな真梨幸子さん。
嫌な女を書く作家はたくさん居るけど、狂気な女を書かせたら個人的にはナンバー1に思いますね~((((;゜Д゜)))


 
都内近郊の高層マンションの自室で女性2人の連続殺人事件が発生。
その血に染まった高層住宅から“血塗られた塔”「ブラディータワー連続殺人事件」と称され連日マスコミを賑わせる・・・・・。

殺された女性の共通点はアラフォー・独身・キャリアウーマン。
タイトルだけ見ると親友同士が裏では…という絵図が連想されますが、よくある女同士のドロドロ愛憎劇というより事件の真相を追うミステリー色が色濃い感じです。

では主な登場人物↓

【被害者】吉崎満紀子(41)  三ツ原タワーマンション201号室住人
一流家電メーカー課長職  売春、ブルセラ系サイトへの顔出し出店等ネット上で“ある意味”有名人であった。  自室で下腹部をえぐられた惨殺遺体で発見される。

【被害者】田宮瑶子(38) 三ツ原タワーマンション2001号室住人
参考書等を作成する出版社係長職  同住宅最上階を中古価格で購入。  吉崎満紀子の事件から翌日に自室で遺体で発見。

【容疑者】山口啓太郎  一連の殺人事件の容疑者として浮上した宅配ドライバー。
吉崎満紀子の売春客で満紀子の体内から検出された体液より逮捕に至る。
更に田宮瑶子の凶器に使われたナイフとも山口の指紋が一致。

楢本野江(36)     事件担当女性検事への私的嫉心と、独自の主観から取材を慣行。真犯人逮捕のスクープ記事で一躍ジャーナリストへの飛躍を目論むフリーのルポライター。『月刊グローブ』で連載を獲得。

楢本野江の取材と掲載記事から真相が次々と明らかになっていくのですが・・・

学生時代の友人から会社の元同僚、事件の関係者から発せられる声はいずれも「負けず嫌い」が見え隠れするものばかり。

“負けず嫌いな性格”を長所に挙げるケースもありますが、競争意識を持つことは良いことだけど度を越してしまうとカースト格差を自らに枷せてしまって、
相手よりも優位な自分を装おうと身の丈に合わない服をどんどん重ね着して…重ね着して…重ね着して…  
うんうん、いるいる、そういう人(゜-゜)(。_。)(゜-゜)(。_。)

一時期既婚・未婚で勝ちだの負けだの騒がれた事があったけど、私には未だに何をもって勝ちなのか負けなのか答えが解らない。

でも人間だから、自分が不幸のドン底にいる時の女友達の幸せ絶頂の報告や充実感についつい嫉妬や破綻を願ってしまう事って誰しもあると思うのよね(。>д<)

同じマンションの住人という以外、接点の無かった被害者が意外な形で繋がって
真実に辿り着いた時、そしてまた意外な人物の本当の姿に辿り着くのです(;゚;Д;゚;; )

・・・今作に始まった事じゃありませんが、いやぁ~エグいですな…(-ω-;)
そのグロさが見たいが故に真梨幸子を手にする訳なのですが。

個人的には同じキャリア女性の“裏の顔”を描いた、東電OL殺人事件がモチーフの『グロテスク』を超える女同士の陰険さを期待していたのですが、
月刊誌記者の憶測目線と掲載文の無機質さから巻末背表紙の「ドロドロ濃度200%」までは残念ながら感じられなかったかな~。

この話の後日談的なエピソードが同氏の著書『深く深く、砂に埋めて』であの人物と再会が出来るそうなので…
後々チェックしてみたいと思います。

胃の下辺りがキュッと縮む様な肌寒さで残暑を凌いでみては如何でしょうか・・・
8月の読書4冊目
『女ともだち』★★★☆☆