MIYABIの部屋

いつの日もこの胸に流れてるメロディー

レビュー『オーデュボンの祈り』


久しぶりに伊坂幸太郎を読みました。
「重力ピエロ」「ゴールデンスランバー」に代表される映画も面白かったですが、
やはり小説には文章でしか現せない言葉の演出と驚きが散らばっていて、ページを捲るのが楽しみになりますね。
 
冒頭から伊坂幸太郎の世界観満載ですね~。
上からな物言いで恐縮ですが、デビュー作って後出しで読むと
結構ハズレな事が多いんですけど、これは良かったです。

ちょっとブラックでシュールなファンタジックミステリー。
 
主人公の伊藤が逃亡の果てにたどり着いた場所は日本であって、
日本でない「荻島」という江戸以来、鎖国を続ける外界と一切を隔絶している孤島であった。
島民は皆、島の外界を知らず独自の文化と独自のルールの下で日々暮らしているのですが、代々親から子へと受け継がれてきた

「この島に欠けているものを外界からの渡来人が運んでくる」

という古の先人達の言葉を心の何処かで待ち望んでいるのでした。
そして伊藤はソレをもたらす事が出来るのか。
 
その島で出会う個性豊かな人々。
犬や猫はそのまんまの形状なのに、突飛に未来を予知する喋るカカシが登場したりして閉鎖された島の住人達をよりミステリアスに反映させてくれます。

そして事件は起こります。カカシの優午が、何者かに殺されてしまうのです。自分の死期を解っていた筈なのに何故それを防ぐ事が出来なかったのか…。
 
優午の死の真相を辿りながら紐解かれていく島の歴史。
伊坂幸太郎の小説を評価するには月並みな言葉かも知れませんが、
ラストの伏線の回収が見事です(*’ω’ノノ゙☆パチパチ
何気ない会話や行動が後に“あの時のΣ(゚Д゚〃)‼”っとなって感動すら覚えますね~。
 
オーデュボンとは、フランスの鳥類学者で絶滅危惧種の鳥を研究し画集等で糾弾した人物。
案山子とは、本来は田圃に立ち鳥や外敵から稲を守る為の存在。
そう思うと読了後のタイトルセンスの秀逸さを感じます。
 
私の足りない読解力では何が伝えたいのかが霞がかって上手く書けないのですが「スゴい本だ」ってことは十二分に感じとりましたよ。
 
「理由になってない」;y=ー(´Д`;)・∵. バンッ
 

この小説を紹介してくれたブロ友さんに心より感謝(*uωu)ノアリガトウ
『オーデュボンの祈り』★★★★★