MIYABIの部屋

いつの日もこの胸に流れてるメロディー

レビュー『小夜しぐれ みをつくし料理帖』


高田郁著『みをつくし料理帖シリーズ』
第5段 小夜しぐれ
前作「今朝の春」では、誰もが認める一流の料理人であれば天満一兆庵の再興だけでなく、あさひ太夫を身請けする事も叶わぬ夢ではない…という道筋を示された澪。仕事も、そして恋も動き始めたシリーズ第5段
 

以下、あらすじと献立です。
迷い蟹――浅蜊の御神酒蒸し
お酒の提供日、種市の離縁した妻のお連がふらりとつる家を訪れ、憎しみに青ざめる店主の顔に不穏の空気が澪たちを包む。
アサリの殻の中に紛れて家族の元に帰れなくなった蟹と、愛娘に先立たれた父親の無念に震える小さな背中が沈痛で胸が締め付けられるお話。

夢宵桜――菜の花尽くし
春初旬…この時節の行楽と言えば桜。
料理の腕を見込まれ、吉原妓楼「翁屋」主人伝右衛門直々にご贔屓客の花見酒宴の調理役を仰せ付かり、金満家揃いを唸らせる献立を思案する澪は、幼き頃の野江と過ごした春の景色を呼び戻すのでした…。

小夜しぐれ――寿ぎ膳
裕福な家庭と器量に恵まれ乍らも、想い人との成婚は遂に叶わぬまま祝言の日を迎える美緒に、同じ片想いという境遇からの感傷の念に蓋をして、想いを断ち切り新たな大海へと舟を漕ぎ出す友の祝いの門出に、澪は心尽くしの饗膳で花を添える…

嘉祥――ひとくち宝珠
旧暦の6月16日は、お菓子を頂き健康招福を願う嘉祥という行事から、現在もこの日は和菓子の日と認定されているとか。
本章は将軍に仕える御膳奉行のパートでつる家の面々の登場はありません。
身分違いの恋愛感情に気付かないふりをする者がここにも一人…

今回は澪を取りまく人達の過去や、これまで霞掛けられていた真相が明らかとなり、ますます今後の展開に目が離せなくなって来ました。

この時代を生きたの女性の強さ、そして歯痒さもぎゅっと凝縮されて、今の時代の良さたるや…19歳で「行き遅れ」とか言われちゃうんだね…。
この女性達の幸福を願いたいです。
 
5/10冊まで来ました。
『小夜しぐれ みをつくし料理帖』★★★★☆