高田郁著『みをつくし料理帖シリーズ』
第7段 夏天の虹
前作「心星ひとつ」で、町娘が旗本へ嫁ぐには先ず武家に養子縁組し、数年間奉公し所作法を身に付け、箔を付けた後に晴れて輿入れとなるという事を知りました。澪に置き換えれば料理を諦めない限り、想い人と添う道は無い…という事実。恋か料理か――運命の分岐点。
※ここまで来るとネタバレなしは難儀…
未読の方は本当に注意してくださいm(_ _)m
以下、あらすじと献立です。
冬の雲雀―滋味重湯
全ての人達の尽力を退けて婚約を破棄し、小松原を悪者にさせてまで料理場に立つ事に心を痛める澪。
料理人として生きよと目尻に優しく皺を寄せ、愛しき男は初めて澪の名を呼んだ(澪が最後まで本当の名を呼ばない所が泣ける…)
自身で選んだ道なれど、今にも壊れてしまいそうな澪を見守る芳の母心が切ない…。
忘れ貝―牡蠣の宝船
澪の料理を愛してくれる人達の思いや願いが掛かる料理番付が、更に澪を追い詰めていく。
次なる看板料理に育てるべく食材は4年前、上方の味付けに非難轟々であった深川牡蠣…4年越しの牡蠣料理の評価は如何に!?
そして澪を護る為、小野寺も伴侶を得て2人の恋は終焉を迎える。
一陽来復―鯛の福探し
回りの心配の声に気丈に振る舞う澪だが、心労が祟り料理人の命である味覚と嗅覚を失ってしまう。
今後一切手伝いに出さないという約束を伏せ、ふた月という期限付で遊郭料理人、又次が澪の回復まで助っ人に来てくれました‼
不幸なのに鯛?患ったからこそ気付く料理の奥深さを澪に諭してくれたある人物…この苦難が澪の成長の糧となればいい。
夏天の虹―哀し柚べし
又次の料理の腕に惚込む御客人に惜しまれながら、強面の料理人は故郷に帰ると言う名目でつる家を去った。
古巣翁屋へ店主と共に又次を送る澪達が見たものは…吉原遊郭一帯に赤い焔が燃え猛る悪夢の様な光景!あさひ太夫の安否は!?
涙でもう何が何だか良く解らないぐらい泣きに泣いた章。
マンガでもドラマでも、好きな登場人物の死の場面は心に風穴がざっくり開いてしまって…ツラい。゚(゚´Д`゚)゚。
此処だけの話、又次が吉原に戻る丁度その日に大火事って…