MIYABIの部屋

いつの日もこの胸に流れてるメロディー

レビュー『夢を売る男』


百田尚樹著『夢を売る男』
「1度でも本をだしたいと思った人は、
読んではいけない」
そんな事がカバーに書いてありました。
こちらも文庫化したのを機に購読です。
出版業界の裏側を毒舌満載で描く長編ブラックコメディ小説でした。

見出しこそ思った事はありませんが、自分にも置き換える所も多々あって、とても勉強になりました。おもしろかったです♪

その主な内容は自費出版
どの様にして1冊の書籍が完成し、書店に列び、自分の手元に届くのか?
出版業界の裏事情や編集者達の居酒屋トークが創作上とは言え実にリアル。
誰かモデルというか…実在の人物が居たのでしょうか!?
文中で百田さん自身の事も
「どうせすぐ消える作家だ」と自虐してるのにも笑えます^^;

自叙伝・エッセイ・絵本・句集・創作小説…
あらゆる分野から賞に応募してくる作家志望者達も皆、はじめて書いた作品ながら誰一人自分の著書がヒットしない訳がない!と信じて疑わない一癖も二癖もある人達ばかりΣ(゚◇゚;)

新人賞授賞作家の肩書で華々しくデビューし世間をアッと言わせたい!
周囲を見返してやりたい!あわよくば夢の印税生活をおくりたい!という自己顕示欲の塊のような老若男女の願いを叶える為―――
夢を売る男こと百戦錬磨の敏腕部長  牛河原勘治のセールストークが舌好調!

「夢を叶えるには金がいる!」
それでも不思議と彼の放つ言葉には切実さや説得力、そして背中をぐっと押してくれる優しさも込められていて、最初はあまり好感の持てなかった主人公でしたが、最後まで憎めない男でした(>_<")
そしてラスト1行にはそれまでを覆す、救いのある一言が用意されていて、
300頁という長編としては短か目の話の中に見所が沢山詰まっていました。

私もこうして読んだ本の感想を好き放題書いていますが・・・
「作品」として後世に残すという作業は大変なんですね。
最後に、もの凄く言葉を選んで書いてますが…詐欺やマルチ商法の話です^^;
そしても1つ最後に思った・・・
「1度でも本をだしたいと思った人は、読んだ方がいい!」

賛否両論ありそうですが 私は好きです♪
百田尚樹『夢を売る男』★★★★☆