MIYABIの部屋

いつの日もこの胸に流れてるメロディー

レビュー『死神の浮力』


クールで雨男な死神、千葉が帰って来た!
伊坂幸太郎の100万部を突破したベストセラー
『死神の精度』の続編です。
前作は6作の連作短編でしたが今回はがっつりの長編となっております!

「死神」と聞くと黒いフードに大鎌を携えたドクロの形状を想像しますが、
このお話の死神は、あるエージェントに属し1週間後に死期の迫った人間に“今死ぬべきか見送りか”の“dead or alive”をジャッジする見届け人だ。

しかも姿かたちは追跡者と会話が可能、人間の苗字を名乗りスーツを着用して空き時間は音楽を堪能するべくCDショップに入り浸る‼
という型破りな愛すべき死神さんなのです。

今回の追跡者は、10才になる愛娘を失った小説家 山野辺遼。

7日間の調査では今回新たな特約も追加され、過去「可」を濫用し過ぎた為に生死の均衡が崩れ、帳尻合わせに“寿命還元キャンペーン”と銘打たれた延長○年保証までお付けする事が可能だという…。
「何だそれ(`Д´)ノ*」とツッコミたくなる荒唐無稽なお話ですね~。

山野辺夫妻が憎むべき容疑者本城崇は、統計学的に1/25人とされる良心を持たない人間(サイコパス)、第一審では本城の仕組んだ策により証拠不十分で無罪放免を勝ち取っていたのです。

法で裁けぬのならば、自らの手で娘の無念を…。
そんな山野辺に下した千葉の判定や如何に!?
更に本城の背後にも千葉の同僚の姿が!?

重たい内容の中で千葉の浮世離れしたズレた感覚にクスッとさせられたかと思えば、外側から見た人間のエゴや風刺の指摘にドキリとされる部分もあって、やっぱり伊坂さんは凄いなぁ~(*´∀`)と感動。

いつも思う、ミステリーなのかファンタジーなのか!?ジャンルが難しい作家さんだ~と(´-ω-`)???

ただ…長編だけに回想シーンや不毛な会話が多く・・・
やっぱり千葉さんは短編向きかな。伝えたい事盛り込み過ぎて、些か冗長に感じさせてしまってるのが惜しい。

興味深いお話なのですが、読んだ時期が報道ニュースと余りにもタイムリーで少し暗い気持ちになりました。

『死神の浮力』★★★☆☆