MIYABIの部屋

いつの日もこの胸に流れてるメロディー

レビュー『漁港の肉子ちゃん』


今もれなく書店に行くと・・・芥川賞ノミネート以降から急激に平積みされた本に目を留めれば“又吉先生帯”の多いこと‼
今回購読したこの本にもデカデカと“アメトーーク!「読書芸人」でピース又吉が紹介、大反響!”と、ばっちり銘打たれてました♪西加奈子さん初読みです♡
 
 
ひと月半 読書から遠ざかってたのでまた停滞するかも^^;…と自分でも遅読を予感してたんですけど、西さんの筆力に引き込まれ2日で読了しました☆

丸々と太ってて不細工でちょっと抜けてるけど底抜けに明るい母と、その母とは似ても似つかぬ可愛い容姿と知性を持ち合わせたちょっとドライな一人娘。
世間の目を気にせずありのままに生きる肉子ちゃんと、そんな生き方を恥ずかしく思うキクりんとの母子の絆を描いた心暖まるヒューマンドラマです。
ちなみに涙ふくハンカチは必至です~☆
 
 
※以下登場人物等ネタバレを含みますので未読の方はご注意くださいm(__)m
 
 
●肉子ちゃん●
本名は三須子菊子(みすじきくこ)
小5の娘と暮らす38歳シングルマザー。
お人よしで情にもろくすぐダメな男にひっかかっては借金生活を余儀無くされる。
男に騙され各地を転々とし、紆余曲折を経て流れ着いた北の港町。
漁港の焼肉屋「うをがし」の住込み店員として働いている。
その容姿から肉子ちゃんと呼ばれている。

●キクりん●
この小説の語り手。三須子喜久子(みすじきくこ)11歳。
母の遺伝子完全無視の美形で痩せ型、賢く運動神経も抜群、男子生徒にもモテる。
ずぼらな母とは対照的に知的でクールな性格、周りの空気や顔色を察知し過ぎるあまり思った事を内に秘めてしまう。
思春期の多感な時期から貧乏暮らしと、この母の事を少し恥ずかしく思っている。

 
 
それにしても母娘で同姓同名て…^^;
このキャラ立ちし過ぎな母を反面教師にか!?二人の性格は正反対。
ちょっとおバカな肉子ちゃんの仰天エピソードを娘が冷ややかに回顧していくのですが、ある程度聞いてると正直お腹いっぱい…( ´△`)
しかし!後半100頁位に差しかかると物語の空気が一変、込み上げてくる涙を抑えようにも止めどなく溢れて来てほぼ嗚咽でした。

まさか肉子ちゃんにこんなに泣かされるとは…
洟をすすりながら文章を目で追ってると、突如今度は笑いのトラップを仕掛けてくるので号泣しながら爆笑させられまた涙…。
最後の最後まで読者を飽きさせない、西カナワールドのトリコになりました♡♡

子育て経験のない私がこんだけ泣くなら、世のお子さんを持つ方々が読まれたならもっと共感出来るんだろうなぁ。。。
また逆にお子さん側も然りかと思います。

―ちゃんとした大人なんて一人もいない。それでもみんな生きている―
うん。ほんとそうだねって思います。

最後に、この漁港は架空の街として描かれてますが、震災前の宮城県石巻市をモデルに風景描写をされたと知りました。
その事についても末文に添えられており、そこを読んだだけでも胸がぐっと熱くなりました。

西加奈子さん 次は何を読もうかな♪♪
『漁港の肉子ちゃん』★★★★★