MIYABIの部屋

いつの日もこの胸に流れてるメロディー

レビュー『命を救われた捨て犬 夢之丞』他

 
とあるご縁から書籍をお借りし、
読み終える事が出来ましたのでご紹介させていただきます。
今西乃子著 『命を救われた捨て犬夢之丞災害救助 泥まみれの一歩』
桜林美佐著 『ありがとう、金剛丸~星になった小さな自衛隊員』
 
 
 
 


ノンフィクションを読むのは久し振りでしたが文字も大きく、200頁以下のボリュームと写真も沢山掲載されていたので半日程で読み終える事が出来ましたが、
読了してからの方が色々と反芻する時間が長かった様に思います。
ずっと手元に置いておきたいと思ったので本をお返した後、書店で購入しました。

この二つに共通しているのは災害等の捜索活動にあたる、
災害救助犬」の実話に基づいたお話です。
本の紹介というよりはこういった犬達が居るんだという事を私も初めて知り、大きく感銘を受けたので書き残しておきたいと思った次第です。

『命を救われた…』は、広島で人命救助を目的としたNPO団体に所属し、
昨年の同県の土砂災害現場で活躍した災害救助犬、夢之丞(ゆめのすけ)とその仲間達のお話です。

ペットの所有率が増えている一方、一部の人間の身勝手な理由や飼い主の高齢化から飼育放棄され保健所に送られる犬や猫が毎年後を経たないのが現状だそうです。

人間に捨てられ、薄暗い施設の中で恐怖に怯えながら処分される日を待つしかなかった仔犬が、新たな使命を受け災害に苦しむ人達の命を救いたい…人間の役に立ちたいと泥まみれになりながら懸命に任務にあたっている・・・

想像しただけで目頭が熱くなるのに文中では決してお涙頂戴や美談にはせず、
淡々とドキュメントタッチで綴られているのが如何に被災地が壮絶な惨状だったかという事を物語っていました。

その後夢之丞君は国を越えフィリピン・ネパールと自然災害に苦しむ人達を救う為、今も活躍しているとメディアで知り…頭が下がる思いで一杯です。
 
 

 

そしてもう1冊は3.11東北地方を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災
混乱する惨状の中、懸命に救助にあたる自衛隊員の姿が連日報道されていたその裏で、人知れず実直な迄に供に捜索にあたった「小さな自衛隊員」がいました。

『ありがとう、金剛丸…』は同じく広島の海上自衛隊が厳重警備強化の為に、警察犬訓練施設から迎え入れた隊初の警備犬として新入隊した、国際救助犬 金剛丸と相棒犬 妙見丸のお話です。

かつて災害派遣で活躍した親犬の優れた血を引く金剛丸はその期待に応えるかの様に成長著しく才能を開花し、妙見丸共々厳しい訓練もクリア、更なる難関と言われる国際救助犬にも見事合格を果すのです。

災害救助犬の使命は災害発生から約3日間の、“72時間の壁”以内に生存者を発見する事に特化して捜索にあたります。
嗅覚を頼りに微かな体温や匂いを察知すると、隊員が駆け付けるまでその場を離れる事なく絶えず吠え続けるのです。

現地に入り一瞬でも絶望が頭をよぎる人間達を余所に、2匹の犬達は救う命があるのならどんな危険な環境であろうと率先して飛び出して行く。
階級も出世もない…遭難者を見つけハンドラーに褒めて貰うことが何よりも喜びの犬達は、足場の悪い瓦礫の上で釘やガラスで手足を血だらけにしながらも、決して集中力を切らす事なく捜索にあたりました。

「足手まといになりたくない」
自身の身体が病魔に犯されているのを周囲に悟られまいとする姿にいち早く異変に気付いた訓練士でさえ、その気迫に負け戦線離脱を命じる事が出来ませんでした。
そこには苦楽を供にした一人の戦友の姿があったと松元訓練士は語っています。

任務期間を終え救助犬チームが帰還した際には、駐機場には自衛官総動員で敬意を込めた敬礼で彼等を出迎えたと書かれていたのは涙が止まりませんでした。

そして本拠地の海上自衛隊・呉造修補給貯油所に戻った金剛丸は全ての任務を終え、静かに息を引き取りました。


 
 
2つの書籍を読了し、さまざまな思いが込み上げてきて、
犬達だってこんなに頑張っているのに自分は・・・
だいぶ自己嫌悪に陥りましたが、ただ泣けた、感動した、だけで終わらせず上手く伝えるのが難しいですが色々と自己を見直したり、自分の出来得る範囲で何か貢献出来たらいいなぁ…と思っています。

今現在も私達人間の支えになっている動物達は犬以外にも無数に居るわけで、
人も動物もより良く共存していけたらいいなと切に願います。

長くなりましたが、ここまで読んでくださり有難うございました。
今回は☆評価はなしとさせて頂きますm(__)m