MIYABIの部屋

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レビュー『アルテーミスの采配』


真梨幸子著『アルテーミスの采配』
夏の初めに読んだものですが投稿のタイミングを逃してしまったので。
大好きな真梨さん鉄板の復讐モノです。
 「人生に分岐点なんてものはない。 
知らない間に、何処かの誰かに、 その道は選ばされている」 


アルテミスーartemisー
ギリシャ神話に登場する純潔の女神。
月の神とも呼ばれ、全知全能の神ゼウスを父に持ち、弓の名手太陽神アポロンと双子で彼女も同じく狩猟を得意とする。
出産や妊婦の守り神でもある反面、男女の性愛を激しく嫌悪し、その怒りに触れた者は疫病の弓矢で大量死させたと伝わる残虐性もあわせ持っている。



(幻冬舎公式HP内容紹介より引用)
人生には幾度となくこう思う瞬間があります。
―あの時、あちら側を選んでいたら―
しかし、その“あちら側"なんてものはそもそも存在していなくて、私たちは知らず知らずのうちに、何者かの采配によってその人生を操られていると知ったら……。
「アルテーミスの采配」は、何者かによって人生に張り巡らされた“罠"の恐ろしさを描いた長編ミステリーです。 

キーワードは「復讐」です。
人は無意識のうちに誰かから恨みをかっていて、その誰かが本気で復讐を考えた時、人の人生というのは何とも簡単に歪められるものなのです。
人は人に復讐をする時、その人生をもってして、長い時間をかけて、相手の人生ごと呪い、乗っ取るのです。

物語を読み終えた時、読者は気付きます。
今自分が生きる人生もまた、無意識のうちに自分が傷つけた、誰かの手の中にあるかもしれないと。
謎が謎を呼ぶ一気読みミステリー。

すべての想像と推理を裏切るどんでん返しの応酬に息つく暇もありません。
ラスト読み終わった時、物語のすべてが「真梨幸子の采配」だったと気付かされます。


ほぼ全文まるっと引用させて頂いちゃいましたが、これ以上の記述あります!?ってぐらいに凝縮されてるので私の所感は割愛してもいいかな(ネタバレになるし^^;)

プロットは真梨さんの小説ではお馴染みのルポライターの一人称群像劇。
東城ゆな、井草明日香、双樹沙羅、海王セイ、杏里ちさと…彼女達は芸能プロダクション「GEZEN」に所属するセクシー女優(という表記が正しいの??)
「なぜ貴女はこの業界に」というインタビューを元に展開していきます。

改めて・・・
マジこえー芸能界((( ;゚Д゚)))!!!
知らない世界を覗き見する感覚。
これが真実ならば恐ろしや恐ろしや…。

もうとにかく女性がたくさん登場します。
女同士のヒエラルキーやマウンティングは読んでて余り良い気はしませんが、読み出したら止まらないのは何故だろう…。
本名 偽名 芸名が複数存在するので、間を空けてしまうと再読後だいぶ混乱すると思うのでお読みの際は一気に行くのを推奨します。
とは言えミステリーとして秀逸なので一気読みすること間違いないと思いますが…。

登場人物の数だけ伏線があると言っても良いほど、そこかしこに仕掛けられていて、ラストに向けダダダダーッと捌いていかれる様はいつもながらお見事です!
ただ、結構エグめの暴力的な描写もあるのでメンタルバランス要注意です。
復讐劇は読む側も手に力が入るせいか、読んだ後すごーく疲れますOnz

色々と勉強になりました…。
真梨幸子『アルテーミスの采配』★★★★☆